ネスコム記事_生徒との約束

ネスコム中野教室では、来室する生徒さんと定期的に個別面談を行っています。

こんにちは、ネスコム中野教室長の山崎です。今回の記事は、私と生徒との間で交わす”約束”について、記事にしてみました。

保護者の方と生徒さんとの間で交わされる”約束”、私と生徒さんとの間で交わされる”約束”は少し異なります。その違いについて、またなぜそのような約束をするのか、以下をご覧ください。

生徒との信頼を築くには、”信じる”ことと”実践”が最適

生徒への提案は、生徒の言葉からチョイス

すごく単純な約束を生徒さんとします。

例えば以下のようなものです。

1:次のテストで5教科の合計を〇〇点以上取る!

2:理科のテストで平均点以上取れるように学習時間を増やす!

3:教室へ入ってきたときの挨拶は、今よりも大きな声に!

4:帰宅時間をこれまでより10分早める!

5:英単語を毎日10個ずつ練習して、3か月後には300単語の意味・スペル・発音ができるようにする!

6:学校へ提出するノートは1日1ページだけど、それと同時に学期末にドサッと丸々別冊(1冊)提出できる準備を毎日する!

7:1週間に1回は家の手伝いをする!

8:趣味の時間を1時間減らして、40分間は勉強、20分間は睡眠にあてる!(早起きを心がける)

9:宿題を必ずやってくる!

10:部活で県大会出場!

11:高校見学に少なくとも3回は参加する!

12:親に褒めてもらえるようなことをする!

13:提出ノートは朝勉で終わらせる!

14:第1志望の高校へ行けるように、勉強することをやめない!

15:社会の用語を漢字で書けるように頑張る!

16:英語の発音(教科書本文の音読)をスラスラできるように練習する!

まだまだたくさんの”約束”があります。これは生徒さんからいただいた”約束”です。

上記の約束事は、学生らしい約束ですよね。勉強に集中したい生徒さんがいれば、部活やクラブ活動の大会で上位を狙うことが直近の目標になっている生徒さんもいます。

一人ひとり面談をしながら、直近の目標や半年後、一年後、少し遠い未来の夢だったりを聞いていく中で、私に見せることができる”約束”を見つけます

将来、車のエンジニアになりたい男子生徒さんもいました。しかし、私はその将来の夢を見届けることはきっとできません。この教室を卒業したら、どのような未来を創り出していくのか私にはわからないからです。

今、目の前にいる生徒さんと私ができる約束は、残り時間の中で結果を見せることができる約束になります。

面談の中でいくつか挙げてもらった目標や夢に対し、私はこのような質問をします。

「チューターとして、私が手伝える目標って、この中でいうとどれになるかな?」

ほとんどの生徒さんは、「これです。」と答えてくれます。
もちろん、選択のほとんどが勉強や受験に関わる内容のものです。

一人ひとり私と一緒に叶えたい目標は違います。
しかし、不思議なことに”ゴール”は全員同じです。
つまり、”達成する”ことです。

私は押し付けた目標を達成してもらいたいとは思いません。

それは決して楽しめないからです。目標や夢は楽しむものだと考えます。
人に指示されて、達成するものほど”達成感”の低いものはありません。
部活動で「全員で校舎の外周を3周走れ~!」と指示されるよりも、「校舎の外周3周することで、チームの体力が3ポイントアップするぞ!行ってこい!」と言われた方が、「えっ!!チーム力がアップするなら頑張ろう!」と思いませんか?

勉強すること、走ること、もっと簡単に言えば目標を達成することは簡単ではありません。簡単ではないから目標にするのです。その目標を達成するためには、意識を高く持つことが大切です。

意識を高く持つとは、どんな壁が目の前に現れても逃げない心構えです。ゲームでも同じですよね。ボスが出てきたら、どうやって倒してやろうか考えます。また、チーム力の高いサッカーチームが相手だったら、どうやって攻略しようか、などと考え始めます。これが目の前の壁をワクワクしながら倒そうとしている心境ではないでしょうか。

親ではない大人との約束は特別?

この記事を読んでいただいている”親世代”の方は、学生時代を振り返ってみてください。

親以外の大人と約束をしたことはありますか? 意外と無いのでは?
私は一人だけ1つの約束をしたことがあります。(学年順位30位以内になったら、かつ丼をおごってもらえるwというもの(*_*;  ← 無事達成し、食しました(^^♪ )

約束とは信頼と信用の交換でもあります。

約束を告げる側は、相手を信用しているからこそ約束をします。

約束を告げられた側は、約束をした相手を信頼できるからこそ話に乗るわけです。

信用と信頼が自然と完成しているのが家族ではないでしょうか。ですので、家族間の約束事はすぐに決まります。また、家族間の約束事は守られる割合も高いと思われます。

翻(ひるがえ)って、生徒と私(チューター)はどうでしょう。

入室間もない生徒さんほど、きっと私との信頼関係は薄いと思われます。しかし、できるだけ早く、その信頼関係を高いものに築くことで、勉強の方法や言葉の伝わり方も変わってくることは確かです。

お互いの信頼関係を早期に築くためにも、生徒さんとの約束は必要だと考えます。
そして、生徒とチューターという関係でもありながら、生徒と大人との関係でもあります。

生徒さんが’(親ではない)大人と約束をする!ことはきっと新鮮なことだと思うのです。
そして、その約束事が達成出来たら、きっと二人の関係はより良いものになっていくとイメージできます。

ウソをつく大人がいることも確かです。生きていく中で”おかしい”と思える大人を見ることもあるでしょう。でも、身近にいる大人はそんなことはない!ということを伝えるためにも、私は約束を果たします。(後述しますが、この約束事に成功も失敗もありません。生徒さんに伝えたいのは、目標達成するための努力が大切なんだということです。)

安心して学習に取り組む環境を提供するための個別面談

信頼関係が構築できた受験生は学習に集中し、質問も増え、学校の提出ノートの提出率が高くなり、部活動への意欲が増し、点数が安定したり伸びたりしていきます。

これは当たり前のことではないでしょうか。生活の中に存在する不安要素が減れば、それだけ物事に集中できるようになりませんか?

学校の先生になかなか質問できない、家では親にいつも「宿題やったの?」と言われる、友達との関係がギクシャク、部活動の成績がイマイチ、学校祭の準備が捗(はかど)らない、・・・。

不安を抱えた状態で勉強に集中できるはずがありません。
1つずつ解決を図ったり、集中できる環境を作ったりする必要がありあす。

個別相談では、これからの目標だけでなく、困っていることや悩んでいることも聞いています。
時々、生徒さんが生活の中でストレスに感じていることも相談内容に含まれています。
話すことで解決することは、生徒さんに人生の少しだけ先を走っている大人(私)の意見を伝えます。
対応に困る場合は、保護者の方へ連絡を入れることもありました。そのようにして、生徒のストレスを解決していくことで、集中できる環境を作れるようにしています。個別面談の2つ目の目的はこれです。

結果に失敗はないから安心して実践すべし

さて、個別面談を定期的に行う理由を簡単にまとめると次の2つになります。

1-学習の目的をハッキリ言葉(声)に出して、伝える(約束する)ことで、取るべき行動が明確になる

2-学習に集中するために、抱えるストレス・不安・悩みを早急に解決する手段となる

生徒さんとチューターとの間で約束を交わしたら、その日から実践開始です。

5教科合計で〇〇点を取りたい生徒さんは、苦手な教科を克服するための勉強が実践され、
来室のたびに大きな声であいさつをすると約束した生徒さんは、塾だけなく家に帰った時も同じように大きな声であいさつをしないと、習慣化しないという話をして、すぐに実践していきます。

大人や子どもに関係なく、「これから実践していく」ことが明確になると、心も体もラクになります。
それはきっと、達成できた時の自分の姿をイメージしているからだと思います。
達成している自分の姿をイメージしたとき、明るい顔をしているはずです。これを”予祝(よしゅく)”と言います。

予祝の文化は昔から日本にあります。それが「花見」です。そうです、4月の花見のシーズンに行われる”花見”です。花見は桜の花びらが満開になったから行われるのではありません。

半年後の、米や野菜の豊作を祈念して行われています。同様に”盆踊り”もあります。

昔から日本人は、”叶うはずの未来を祝う”という文化があり、それを習慣として毎年行っていたのです。

しかし、ご存知の通り、年によって豊作の時もあれば不作の時もあります。それでも”予祝”をしてきたのはなぜでしょう。それは、予祝をすることで、目標達成の気運を高めたり、お互いの意識を高めたりしていたのではないでしょうか。豊作になる未来を夢見て田植えを始めていくのではないでしょうか。

生徒さんと私の約束事も予祝同様に目標達成を念頭に置いています。

念頭に置いていますが、豊作や不作があるように結果は求めません。理由は簡単です。生徒さんたちは、具体的な目標達成の方法を知らないからです。方法を知らないけれど、達成に向けた日々の努力は必ず次の目標達成に生かされます。目標達成のために行動したこれまでの日々の内容が間違っていたんだと気づけば、次からは別の方法を選択できるようになります。

私は生徒さんが提案した目標に対し、「こうすべき」とか「これをしたら良い。」というアドバイスはしません。本人に行動のいっさいを任せるようにしています。

努力した結果に私は叱ったり反省するようにしたりは絶対にしません。何より本人が原因を突き止めているからです。それよりも続けてきたことに対して褒めてあげます。私との約束は目標を達成するために努力することです。それが達成出来たら褒めてあげます。結果を求めたい気持ちは承知しておりますが、そこばかりに気持ちを集中してしまうと、生徒としては何も手が出なくなるのではないでしょうか。

努力の結果、資格に合格したり、目標の点数が取れたら、達成しなかったとき以上に褒めてあげたらいいと思います。子どもには自己肯定力が必要です。努力した自分を認めてくれる人が周りにいることも必要です。その一人に私はなります。