行動と考動

動く理由に”考える”は必要ない、問題を解くには”考える”は必要。

すぐ行動に移れる人と、考えてから行動する人。

どちらが良いとか悪いとか、評価するわけではありませんが、すぐ行動に移れる人を見ていると、どんな気持ちになりますか?

例えば、交差点で信号が青になるまで待っている最中、反対側から年配のおじいさんが杖をつきながら、赤信号を渡ってこようとしたとき、頭の中では「危ないっ!」と思います。そして、注意してあげなきゃ、駆け寄って引き返す手伝いをしなきゃ、と思ったとしましょう。(もちろん、そのような考えを持たない人がいるのも事実です。)

”考えた”わけですよね?「おじいさんのために何が出来るか」を。
そして、ここからが選択になります。

1-考えたことを実行する人
2-考えながら時間が過ぎてしまい、誰かがおじいさんを助けてあげている状況になってしまう人

結果として、おじいさんが赤信号を渡らないように誰かが止めてあげれば、この問題は解決します。あなたが助けたいと思ったとしても、誰かが助けてあげれば何の問題もないということになるのです。

しかし、考えてみてください。今回の赤信号を渡ろうとするおじいさんのように、『自分に何ができるだろう』と考えている間に、物事が進んでしまい、結果として良い方向にいけば、ホッとしますが、万が一にも事故でケガをしてしまったり、交差点に進入してきた車同士がおじいさんを避けるために接触事故を起こしてしまったりしたら…。その状況を一部始終見ていたあなたは後悔しませんか?

普段の生活の中でも、”判断”を数多く経験しているのが人間です。

・布団から出る
・顔を洗う
・朝食のごはんの量をどれくらいにするのか
・トイレにいつ行くのか
・家を出る時間
・教室で授業を待つ時間
・休憩時間中の時間の使い方 など

実際はもっとたくさんの”判断”をしています。右手を使う、左足を使う、話す、下を向く などです。

しかし、これらの判断は”後悔”することがほとんどありません。後悔しないので習慣になっていきます。(もし、顔を洗うのは朝食後、歯磨きをしてからが良い と思ったら、そうしているはずです。そうしないのは、布団から出て顔を洗うことが自分にとって正しいと判断しているからです。)

先の例にあった「赤信号を渡ろうとするおじいさん」に声を掛けられる・助けられる人ってどういう習慣を持っているのでしょう。

たった1つ、意識するだけで劇的に変われる方法があります

またまた例えばの話になってしまいますが。

あなたが毎朝 目覚める時のことを思い出してください。午前6時に起きなくてはいけないのに(または、起きようと思っているのに)、6時に目を開けてから布団を出るまでに10分以上かかってしまったり、二度寝をしてしまい親に起こされてしまったりしていませんか?

「朝型学習」に切り替えたい生徒さんが相談に来られることがあります。しかし、なかなか早朝に起きて学習することが出来ない。二度寝をしてしまう。といった悩みを聞くことが多いです。そのような生徒さんに伝えていることも含め、改善方法を提案させていただきます。

その日の時間の使い方は、その日だけで考えてはいけない

朝の6時にしっかり起きるためには、自分に必要な睡眠時間を把握することが必要です。

学校生活を送る中で、自分にとって必要な睡眠時間を考えたことがありますか?私のように毎日3~4時間であれば逆算をして、深夜1時~2時頃に寝れば朝6時に起きられることになります(そんな人は学生さんにはいませんね💦)

8時間睡眠が必要だというのであれば、逆算をして前日の夜10時までに寝れるようにしなければいけません。
7時間睡眠であれば、前日の午後11時です。

朝6時に起きるという行動は、前日の睡眠開始から始まっていることに気付きましょう。そして、睡眠開始のためには、その前の時間(前日の時間)の使い方が問題になってきます。

部活や委員会で毎日遅くなる生徒さんもいれば、習い事で帰りが遅くなる生徒さんもいることでしょう。一概に「時間の使い方をこうする!」とは言えません。しかし、朝6時に起きるという習慣を作るのであれば、前日にどれだけ忙しくても睡眠時間を確保するために布団に入る時間は調整できるはずです。

7日間のうち5日間では習慣ではない

平日だけ朝6時に起きるという”習慣”は、ある意味難しい行動です。

なぜなら、習慣とは無意識的に行動してしまうことを意味するからです。
トイレから出てきたら手をあらってしまう車に乗ったらシートベルトに手を伸ばしてしまう校へ行きクラスメイトに会ったら挨拶してしまう、これら習慣は「したい」と思って行動していることではありません、これまで経験してきた中で正しいと判断した結果、継続し習慣化したものです。

だからこそ言わせてください。「平日だけ朝6時に起きる習慣はありえない!」のです。
無意識的に朝6時に起きるようにするには、毎日(土日・休日・祝日関係なしに)行うしかないのです。

どうしても休日などの学校が休みの日にゆっくりと寝ていたいと思うのであれば、朝6時に起床し、場所を変えて休むようにしてください。一旦、体を起こすという習慣をつけるためです。場所を変えて”休憩”とすることで、朝6時に起きるという”習慣”は崩れません。

最終的に親が起こしてくれるという生徒さんにおすすめの早起き習慣化計画

朝6時に起きることを習慣にしたいのであれば、とっておきの方法があります。

(※ 条件は1つ、もし、起床時間を過ぎても最終的に親の声掛けが必ずあること)

朝6時起床の習慣化計画

目覚まし時計を使わない!

誰かに起こしてもらおう
目覚まし時計があるから起きるだろう

このように、起床することを自分以外の力を借りようとする意識がある限り、朝6時に起きることはできません。
試しに、土日を使って実験してみると良いですよ。寝る前に次のように意識してみてください。(睡眠時間を確保できるように前日の就寝時間を調整することは忘れないようにします)

「明日は6時に起きる!」 これだけです。

あなたの睡眠時間が8時間くらいが理想であれば、前日の夜10時に布団に入り、「明日は6時に起きる!」と心の中でぶつぶつとつぶやいてみてください。そして翌日の朝を迎えましょう。寝坊しても影響のない土日を利用して実験してみてください。

面白い結果が出るはずです。不思議なことに、朝6時前後(10分以内)に目が覚めることになります。土曜日に成功したら、続けて日曜日の朝も同様の方法で実験してみてください。

月曜日の朝も続けて実験してみても良いですが、万が一に備えて、お家の方に「もし、朝6時に起きてこなかったら起こしてね。」と一声かけるようにしておきましょう。大丈夫です、2日連続で朝6時に起きれたのであれば、3日目も起きれるようになります。

行動できるようになるために

唐突に出てきた「赤信号を渡ろうとするおじいさん」の話、「朝6時に起きれるようになる」話、実はどちらの話にも共通していることがあります。

おじいさんを助けたい、声をかけて赤信号を渡らないようにしてあげたい、そう考えたけれど、実際には行動に移せない人は、心の中で”恥ずかしさ”と葛藤(かっとう)しています。

おじいさんを助けている自分の姿・声をかけている自分の姿をどこか頭の中で想像する中で、それを誰かに見られることが恥ずかしいと感じてしまうため、正しいことだと分かっていても行動できずに時間が過ぎてしまいます。

しかし、朝6時に起きることは誰にも見られるわけでもなく、万が一、6時に起きれなくても起こしてくれる家族がいるので安心して行動することができます。

この2つの話の大きな違いは、他人の目が気になるか気にならないかです。
家の中であれば、行動したことで見られるのは家族のみです。しかし、外で行動すると、周りの人たちが注目するので恥ずかしさが出てしまいます。

端的に言えば、行動できる人になるには、「恥ずかしさ」を感じる前に動ける習慣を身につければ良いということになります。

有意識から無意識へ、それが習慣、習慣になれば行動はできる

「恥ずかしさ」を感じない人、その行動が当たり前だと思って行動できる人。無意識の行動です。

普段の生活の中で、無意識に行う判断があります。それは先述したように、時間になったら家を出たり、食事をしたら歯磨きをすることと同じです。

人が悩んでいたり危険な状況にあったりしたら、悩みを解消する方法を一緒に探してあげられる人、危険な状況を回避してあげられる人がいるのは、毎日の習慣の中に、それらの行動が当たり前のように備わっているからです。

最初っからできる人はほとんどいません。必ず最初は”有意識”=意識していたはずです。それでも、そういった状況に出会ったときに、「恥ずかしさ」よりも先に行動!と決めて(意識して)いる人たちは、その積み重ねにより、無意識の中で行動ができるようになります。

繰り返しますが、習慣は2日や3日で見につくものではなく、1か月や3か月の期間で必ず得られるものでもありません。

普段から有意識の中で物事を判断し、”行動しなきゃ”と思ったときに、「恥ずかしさ」よりも行動を優先し、結果を出す!という繰り返しが、いつの間にか無意識の中で出来るようになり、「体が勝手に反応して、助けてしまった」という状況がいつか訪れるようになります。

私はこのような状況をたびたび見ることがあります。交差点ではなく、スキー場です。
スキー場では、初心者から上級者まで、時には外国人や修学旅行生など、多くのレベルの人たちがゲレンデの中で楽しんでいます。

勾配の急なゲレンデでは、当然のように上級者や中級者の人たちが、転んでしまってスキー板が外れてしまっている初級者の方へサポートにいったり、端へ移動し、一緒にスキー板が足にはまるまで見届けてくれていたりする場面をみます。

そういったところで手助けやサポートができる人たちというのは、無意識の中での行動なのではないでしょうか。

そうなりたい!と思えばなれる、その逆も同じ。

哲学者エマーソンが残した言葉に次の名言があります。

「その人が 一日中考えていることが その人なのだ」
https://meigennavi.net/word/029/029678.htm

当記事で伝えたいメッセージを一言で表すと、実はエマーソンの言葉になります。
しかし、何の背景もなく、この言葉だけを残しても、何も伝わらないように思えたので、身近な例をいくつか挙げさせていただきました。

なりたい自分になるためには、日頃からなりたい自分をイメージしながら生活することです。

成績を上げたいと思いながら生活をすると、成績を上がる選択を勝手にするようになります。例えば休憩中に提出ノートを終わらせてしまう。例えば、一日のテレビやネットの時間を短縮する。例えば、起床時間を40分早くして、朝勉強を始めるなどです。

目標が決まると、頭の中でそれを達成するための手段や方法を勝手に判断しながら生活することができます。
自分が考えて行動するのではなく、脳が勝手に行動を決めてくれるというところが大切です。

※RAS(網様体賦活系)については今後記事にしていく予定です。

考動するのではなく、行動するのです。さぁ、自分のしたいこと、やってみたいこと、目標があったら、紙に書き出して、行動を始めましょう。