こんにちは、ネスコム中野教室の山崎です。
今回の記事は、もしかしたら保護者の皆様からお叱りを受けるかもしれません。しかし、それも覚悟で記事にします。
小中学生が大人になりたくない理由
大人の皆さん、少しの間、学生時代を思い出してみてください。何年も前のことで思い出すことが難しい場合は、学生時代に戻りたいと思うか考えてみてください。
学生時代に思いを馳せたとき、次の質問に対しどのように答えますか?
Q:学生のあなたは早く大人になりたいですか?大人の社会に入って仕事をしたいですか?
おそらく、私の答えと多くの大人の方の答えでは違っていると思います。
私は、「早く大人になりたい!」と強く願っていました。
理由はシンプルです。お金を稼いで買いたいものがあったからです。
多くの大人の方は、学生時代に「このまま学生生活をエンジョイしたい!」と願ったのではないでしょうか。
友人と遊ぶこと、図書館で一緒に勉強すること、部活に熱中すること、恋愛をすること、友達と遠出すること。色々な思い出があり、できることなら、もう一度あの頃に…と頭の中で妄想していませんか?
話をもとに戻しましょう。
今の小中学生(高校生も含めて良いと思います)が、大人に対してどんなイメージを持っていると思いますか?
塾内で個別面談をすることがあり、進路相談や将来の夢について質問することがあるのですが、そのときに気付かされたことが今回の記事の中身になります。
実は…今の小中学生は、大人になりたいと思っていません。
正確に言うと、「今の大人たちのようになりたくない。」と言っています。
具体的に聞いてみると、次のような意見があります。
・いつも朝から怒っている感じがしてイヤ、もっと優しい言葉をかけて欲しい
・いつも朝から忙しい そこまで急がなくても間に合うのに、大人ってなんであんなにも忙しくするのかわからない
・元気に歩いているサラリーマンを見たことがない
・仕事から帰ってくると「疲れた~。」って言うから、仕事はしたくない(仕事=疲れるもの)
・仕事はお金が生まれるし、信用とか信頼とかに関わるから簡単に休むことができないのはわかるけれど、私たち(中学生同士)の約束だってそれくらいの価値があると思うから、簡単に「それはダメ」って言ってほしくない
大人も反省すべき点はあります
大人の皆さん。これが子どもたちの意見です。
子どもたちが大人をどのように見ているのか、私にはグサッとくる内容もありました。
これらの意見を1つにまとめると、次のようになるのではないでしょうか。
「大人になりたくないのは、楽しそうじゃないから。」
子どもたちが大人になりたくないのは、疲れ切った姿を見せている大人のせいなのかもしれません。
仕事から帰ってきて、愚痴や文句、「疲れた~。」という言葉を聞いているせいなのかもしれません。
大人になりたくない理由は、(保護者に限らず)大人にあるのかもしれません!
と考えています。
この問題について、私は常に意識しています。
塾に来ている子どもたちだけでも、仕事をしている大人が”楽しそう”と思ってもらえるようにしよう、仕事をすることは楽しいことなんだ!と思ってもらえるように、そんな姿を見せていこう。
子どもたちに謝らなければいけません。
「大人になるって楽しいことなんだよ。たくさん知識を付けて、生きるための技術を手にして、大人の世界に早く飛び込んで来なよ!」って素直に言える社会を作ることが出来ていないからです。
しかし、出来ることはあります。しかも、今から出来ることです。
子どもたちに明るく挨拶することや、仕事の楽しさを伝えること、自分の子どもじゃなくても、大人として働くことがどれだけ楽しいことなのか体で表現すること(張りきって仕事をすること)などです。
大人=ゾンビーマン?
ネスコム中野教室から窓越しに電車の中の様子を見ることができます。
始発電車から、夜は最終便まで見ることが出来るのです。
通勤の度にサラリーマンが電車内で肩を落としていたり、スマホに夢中になっていたり、時には寝ていたりと大人の色々な姿を子どもたちは通学するたびに見ているわけです。
そんな大人たちを学生さんたちは”ゾンビーマン”として見ているのではないでしょうか。「ゾンビ」+「サラリーマン」の造語です。
元気いっぱいに朝を迎えているサラリーマンの方が少ないのではないでしょうか?
今日も張りきって仕事に精を出すぞ!という雰囲気を感じるサラリーマンが少ないのではないでしょうか?
大人になりたい…そう思う理由が、日常生活の中に見つからないのではないでしょうか。
子どもが将来なりたい職業にアレが選ばれる理由
ニュースでも話題になりましたが、子どもたちの将来の夢・将来なりたい職業のランキングに、「YouTuber」が入りました。
もちろん、Hikakinを代表とする有名ユーチューバーの存在が後押ししているのですが、ランキングに入る本当の理由はもっと違うところにあると私は考えます。
小学生男子…6位 中学生男子…3位
ソース元:https://yorozu-do.com/work-ranking/
ユーチューバーが選ばれる理由=楽しみながらお金を稼いでいる!
他のランキングされている職業を見てみましょう。
スポーツ選手…見ている人に感動や勇気を与える職業
ゲーム制作関連…使う人に楽しさを与える職業
科学者・医者…人のために役立つ職業(役に立つ”形”がわかりやすい職業)
パティシエ…嬉しそうに食べてくれるお客さんの顔を想像しやすい職業
保育士…保育園の先生に憧れるのは、保育園時代に楽しい思い出があるから
ランキングされている職業のほとんどが、”楽しい”とか”人のために役立つ”といったテーマが見えるものばかりです。
大人の皆さんは知っています。その他の職業だって、人のためになるものもあるし、楽しい仕事はいくらでもあるってことを。
しかし、残念ながら子どもたちにはその姿が見えていません。
では、どのように子どもたちにそのような姿を見せることが出来るでしょうか。
答えは簡単です。すべての大人が楽しそうに朝から出勤して、満足そうに帰宅するようになれば、”仕事”というものが楽しいものだという認識になっていくはずです。
つまり、楽しい職業を探す子どもたちから、どんな職業を選択しても楽しめる!という思考に変わっていくのではないかと考えます。
子どもだけじゃない、大人にもやるべきことはある
記事の冒頭にも書きましたが、”もしかしたら保護者の皆様からお叱りを受けるかもしれません。しかし、それも覚悟で記事にします”。
家族を養っていくには、仕事を選ぶことも必要。仕事を楽しむなんて子どもっぽい発言をしないで欲しい。
そのようなご意見もきっとあると思います。
しかし、私はそんな中でも、子どもたちに見せつけて欲しいと思います。
大人になることや仕事をすることが、どれだけ楽しいことなのかを。
大人の素晴らしさを伝えずに子どもたちが成長したら、きっと今と同じような大人が完成していくと思いませんか?
明るい未来、明るい日本、そのような言葉が現実味を帯びると思いますか?私は思いません。
大人ひとりの心がけが、小さくても行動することで子どもたちが気付き、その子どもたちが「こんな大人になりたい!」と思った未来が少しずつ明るくなっていくと思います。