こんにちは、ネスコム中野教室の山崎です。今回の記事は先日体験して思った「?」を記事にしてみたいと思います。
誰かと会話をするとき、誰かの話を聞くときに無意識に「話に割り込む」ことをしていませんか?言葉はどんな時に発せられ、なぜ発しようと思うのか考えたことはあるでしょうか。
SpeakではなくTalkを。
先日、私が体験したのは、とあるスーパーの駐車場での出来事でした。
買い物袋を両手に提(さ)げたママさんが、出口から出てきました。その後ろから半ベソ状態の4歳くらいの男の子がゆっくりとママさんの後をついてきました。
駐車場へ向かう途中の一幕です。
男の子:「ママ、おかし欲しい!」
ママ:「いいから 早く来なさい!」
男の子:「おかし欲しい!!」
ママ:「先 行くからね ちゃんと来てよ。」
男の子:「おか!!!」
ママ:「言うことを聞きなさい!…(車へ向かうママ)」
男の子:「(出口でグズッたまま動かず)… (20秒くらい後になって、車の方へ歩き出す)」
===================
正直に言えば、このような光景はスーパーだけでなく、おもちゃ売り場やゲームセンターなどで見かけます。
よく見かけますが、どこかおかしいと感じます。それが【ママ:「言うことをちゃんと聞きなさい!…(車へ向かうママ)」】の部分です。
男の子の発言を遮(さえぎ)ってまで伝えた言葉が「言うことをちゃんと聞きなさい!」。
思わず心の中でツッコミを入れてしまいました。→『ママさん、言うことをちゃんと聞いていないのは あなたじゃないですか?』と。
考える力は普段の生活の中でも鍛えられる
男の子は「おかしが欲しい」という主張をママさんにしています。
ママさんは「ついて来て欲しい」という主張を男の子にしています。
お互いに主張をしています。しかし、話がかみ合っていません。お互いに主張だけをしています。
英語では「Speak」状態です。Speakerのように一方的に音を出しています。
主張をするのであれば、主張に対してどのように考えるのか相手の意見を求めなければ解決策は見つかりません。(解決しなくても、話し合うことで納得できる部分は出てきます。)
男の子とママさん、どちらが「会話」のキッカケを作るべきだったのでしょう。間違いなくママさんですね。親ですし、大人です。
「おかしを買わない」理由、「駐車場の車へ向かう」理由を男の子に伝えるべきだったと思うのです。
例えば、
1)「家に帰ればお菓子があるから、ここでは買わないよ。」
2)「欲しいお菓子は何だったの?覚えておくからママに言ってみて。」
3)「お菓子を買いに来たんじゃないんだよ、ごはんを買いに来たの。」
「話を聞く」ことをしてあげなければ、「話を聞く」ことはできません
ネスコム中野教室は対面で質疑応答をしています。
よって、その間、チューターは生徒を、生徒はチューターの顔を見ながら話すことが多くなります。
数学や英語の場合は、紙面に解説図を示しながら説明することもありますが、ポイントでは目を合わせることがあります。
その中で、生徒が解説を聞きながら「疑問」に思ったことを話し出すことがあります。
本来であれば「最後まで解説を聞こう!」と言うところですが、私は生徒が話し出したら、一旦 解説を止めて生徒の話を最後まで聞くようにしています。これは意識的にしていることです。
「話を聞く」ことをしてこなかった生徒さんは、「話を聞く」ことができません。その反対に、解説を最後まで聞いてくれる生徒さんは、チューターが最後まで話し終えるまで聞いています。そして、解説が終わると「疑問」を提示してきます。
これらの違いは、普段の生活の中での”慣れ”だと思うのです。
生活の中で、生徒さんの話を「聞いてもらっている」状態であれば、「話を聞く」ことができる人になります。しかし、生徒さんの話を聞く相手が「途中でさえぎる」「聞いているのかわからない」ような状態であれば、話している当人も話を聞く側になったとき、同様の行動を取るのではないでしょうか。
ですから、チューターは「話を聞く」側になったとき、途中で話を遮(さえぎ)ることはしません。途中で話に割り込むなんて失礼にあたる!と思われるかもしれませんが、話を聞く相手が最後まで聞いてくれたら”気持ちいい”とか”話を聞いてもらえた”という体験を通して、『次は自分も』『あっ!そうか。話は最後まで聞いてもらった方が良いんだ!』という感覚を身につけていけると考えます。
「話を聞く」ことの効果
言うまでもなく、相手の話を最後まで聞くことは常識ですし、コミュニケーション能力が必要とされる昨今では必須の人間力ではないでしょうか。
「話を聞く」ことで、色々な面で効果(メリット)が出てきます。
話を聞く側にとって
・話したい内容が何かを頭の中で整理することができる
・話の中で疑問に思ったことを「質問」の形にする時間を確保できる
・論理的に理解しようとする
・1つの話として部分的ではなく完全に理解できるようになる
話をする側にとって
・最後まで話をすることで伝達力がアップ
・話を途中でおられることがないので論理的(AだからB、よってCと言える)に伝えることができる
・気持ちよく話すことができる
・相手の表情を確認しながら、話す内容を適当に変化させることができる話術ができるようになる
親は「聞く側」、子は「話す側」と決めてしまう
買い物についてきた子どもは親の買い物に付き合わされていると言ってもいいでしょう。しかし、親の立場からしたら、家で一人っきりにさせるわけにもいかないわけで…。もちろん、親の立場は理解できます。
しかし、子どもの立場も考えるべきです。話を元に戻しますが、子どもが「おかしほしい」と言っているのであれば、「話を聞く」ことをしてあげてください(途中で子どもの発言を遮らない)。そして、親としての意見を伝えてあげてください。
親としてできることは「子の話を最後まで聞いてあげること」です。最後まで話を聞いてあげて、話を理解してあげる、言いたいことは「こういうことだね!」と確認してあげる。だけど、今はそれが出来ない理由を子どもに伝わる言葉で伝えてあげてください。
駐車場を目の前に、そんなことしている時間がない!と思うかもしれませんが、その”気持ち”の積み重ねが、子どもの状態を作り出していることに気づきましょう。
スーパーから出てきても、お菓子を買ってもらえなくても、笑顔で出てくる子どもはたくさんいます。きっと、そういった家族は日頃から…と思うのです。
いっそのこと、お子さんがそのような状態であるなら、大人は「話を聞く側」、子どもは「話をする側」という役目を与えて、親として徹底的にお子さんの「話を聞く」のはどうでしょう。
あっ、ちなみに、私は「〇〇が欲しいんだね!よしっ覚えておくから次に来たとき また教えてね!!」で解決してきました。次、ここへ来るときには「〇〇が欲しい」という気持ちはありません。その場で買ってもらえることが欲求なのです。