字は汚くてもいい?

こんにちは、ネスコム中野教室の山崎です。

外出すると汗がジワーっと体中から出てくるような暑さの中、今年も残り少ない夏を過ごしています。

今回は、「文字は汚くてもいいのか?」という疑問に対する私なりの回答を記事にしてみました。

字が汚くなる理由?

教室で勉強している生徒さんの中にも、書いた本人でさえも読み取れない文字を書いたり、本人には読み取れるけれど他人には…という字を見ることがあります。

字が汚くなる理由は大きく分けて2つあると思っています。

字が汚くなる理由1

頭の回転が速いため、考えたことを文字にするタイムラグを少しでも埋めようとする作用

例えば「9×9=81」という式と答えは、頭の中で一瞬で完成してしまいます。それを文字として残すとなると、なるべくスピーディに書く必要が心理的に起こります。

その焦りが文字の”汚さ”となって現れてしまう、という考え方です。

字が汚くなる理由2

字を図形として書いているため。

「〇(まる)」や「△(さんかく)」などの図形は、落書きや絵を描くときなどに無意識的に使うことがあります。しかし、それらの形はフリーハンドで描く以上、少し歪(ゆが)んだり、直線が波打ったりしても、図形として認識することができます。つまり、○や△という図形は、形が変形しても、誰もが認識してくれるものです。

対して文字はどうでしょう。「あ」や「い」などの”文字”は、キレイに見える書き方や書き順というものがあります。「あ」の一画目は横棒から始めるからこそ「あ」がキレイに書けるようになります。これを縦の線から書き始めると「あ」という文字のバランスが崩れ、キレイな字を書くことは困難になります。

しかし、書いた文字が「あ」となっていれば、「あ」として認識されます。
認識はされますが、それは書いた本人にとっての「あ」であって、他人からするとバランスの悪い文字となります。一文字であれば、「あ」と認識するまでに時間はかかりませんが、次に続く文字、その次に続く文字も読み手が考えて読解していくような作業に入ってしまうと、”読みづらい”という印象を与えます。それが、字が汚くなるという結果につながります。

以上のことから、字を汚く書いてしまう人は、字を図形化している傾向があります。「自分にとって書きやすいから」という理由で、書き順やバランスを無視し、文字の図形化に走ってしまっているのです。

今からでも遅くない、キレイな字をもう一度確認

塾で学習指導している私自身、字がキレイだとは思いませんし、中学生の文字のキレイさに感銘を受けてきたことさえあります。

YouTube書籍などでときどき”美文字”や”きれいな字の書き方”などのタイトルを見かけると、一瞬立ち止まって、それに見入ってしまうことがしばしばです。例えば次の動画は私のお気に入りとしてリストアップしています。

このような動画や書籍を目にしたら、実際にペンを持って書いてみます。そうすると、今までの自分の文字にはクセがあることに気付きます。

例えば、「ね」や「よ」は書き出しの部分や、曲げ始めるタイミングなどが全く違っていました。

では、その手本をもとに書き出してみると・・・確かに読みやすい字になります。

キレイな字を書こうとすると、自然と〇〇な字になることを発見!!

クセのある字も、その人の個性なのかもしれません。現にそのような字を書く人を見たことがあります。それはもうクセが確立しているというか、特別に書体を学んでこられたのかな?とさえ思うほどです。

さて、私がキレイな字を書きたい!と思いながら、動画や書籍を参考に字を書いていると不思議なことに1つのメリットがあることに気付きました。それは…

キレイに書こうとすると、字を丁寧に書いている!

ということです。

文字をキレイに書くということは、形を気にします。形を気にするということは、図形で考えると正三角形のように、すべての辺の長さが等しく、1つの角が60度になるように注意しながら描くように、「あ」や「い」のキレイさを表現するには、一画目と二画目のつながりはココがポイントで、三画目はココで曲がって、、、のようにパッパッパッと次々と文字を書き出すことができない状態になります。

結果として、それらの文字は「丁寧な文字」となります。

「字は汚くてもいい?」の質問に対する回答

本題に戻ります。今回のテーマは「字は汚くてもいい?」というものでした。

私の個人的な意見を次に書きます。

あなたが受け取った他人からのメッセージが汚くても良いと思うなら、字が汚くても良い。

他人が書いた文字がキレイだなぁ、と思うことがあれば、字は汚くない方が良い。

これからの時代…違いますね、すでに現代はデジタル社会となっています。SNSも発展途上にある中で、キーを打って文字を伝えることが主流となっています。

また、仕事であってもメールやWord(ワード:文書作成ソフト)を使って相手に伝える手段が主流となっているため、自分の文字のキレイさを気にする場面はほとんどありません

重箱の隅を楊枝(ようじ)でほじくるようで、ちっぽけな意見に聞こえるかもしれませんが、そんな現代でも”文字を書いて伝える”という場面は少なからずあります。

・要件をメモし関係者に伝える

・印刷できない場所に文字を書き残す

・スタイラスペンを使って資料に意見を書き出す(タブレットやPCなどに資料を表示し、資料に特別なペンを使って文字を書く作業)

・いただいた手紙に対し、手書きの手紙を出す

・アンケートや提出書類・調査書などへの記入

文字は自分だけでなく、それを見る人へ向けて”読める”ことが最大の効果を発揮します。文字の内容の理解はその次です。

咄嗟(とっさ)にメモが必要になり、皆でそのメモ内容を共有しよう!となったときに、文字が汚いから、パソコンで打ち直したり、スマホで打ち直して送ったりするのは時間がかかります。SNSを利用すればメモ用紙をスマホのカメラで撮影し、その写真を相手方へ送信すれば完了です。

試験を受ける身としては「キレイな方がいい。」

大人になれば学生時代の筆記量を100%としたら、10%や15%もありません。事務を仕事にしている人で、そのくらいの量ですから大工さんやプログラマーといった職人さんたちはほとんどペンを使って文字を書くなんてことは無いでしょう。

でも、それはペンを使わない職業に身を置いているからです。学生の皆さんの職業は?そうです「学生」ですよね。学生は学校の授業を受けながらノートを取り、時にテストを受け、卒業近くになれば「受験」をするのが通常です。そのほとんどの場面で”文字を書く”ということが必要になります。

学生の皆さんは、他人のテストを採点するという経験はあまり無いと思います。しかし、私のように他人の文字を見たり、採点しなければならない仕事もあります。

もし、あなたが私の立場だったら、キレイな字と汚い字のどちらに好印象を持ちますか?
先にも述べましたが、キレイな文字は丁寧さを感じます

これが、長野県の公立高校前期試験に提出する書類(自己PR文や志望動機を書き出した提出物)だったらいかがでしょうか?

汚い字が不真面目とか適当感があるとかと言いたいわけではありません。
字をキレイ(丁寧)に書いてあるだけで、第1印象が良くなるということです。

いや、「字の汚さ」も含めて自己PRなんです!と思うのであれば、否定しません。
事実、過去に教室を卒業していった生徒さんの中にも前期で合格しています。

字のキレイさ、字の汚さで合否が分かれるわけではありません。
あくまで、字のキレイさ(丁寧さ)は相手に好印象を与える道具になるということを知っておくだけでも良いと思います。

これからのテスト採点は「AI(人工知能)」に?…となると汚い字は危険!!

大学の入学試験制度変更が近年の話題となっており、2020年からいよいよ本格的に始動します。

そこで導入されるのが”AI”です。AIは人工知能、AIを使って採点を効率的に行うようになります。

と言うことは…文字が汚い人は大変かもしれません。

そうです、AIが文字を読み取れない可能性があり、読み取れない文字は減点対象になるかもしれないからです(あくまで憶測の範囲を出ません)。

また、私がもう1つ懸念していることがあります。
文字が汚い人は、マークシートのチェック作業も「雑」な傾向を感じています。統一模試などで見かけます。

円の中を塗りつぶす作業が「雑」になると、その範囲から飛び出して円が大きくなってしまったり、ぬりつぶすはずが、一部が塗りつぶされていなかったり…採点に影響があるような(減点されてしまうような)ことにつながります。

同様に、四角の枠内に文字を書かなくてはいけないのに、枠を飛び出して文字を書いた場合、AIは枠内に書かれている文字を判定するようになるので、漢字のトメやハライが不十分だとして判断される可能性が出てきます。

あなたがどう考えるか、答えはそこにある

字が汚くてもいいかどうかは、結局のところ書く人が字に対してどのようにとらえているかが全てです。

字をキレイ・丁寧に書くことが、素晴らしいと思ったり、憧れだったり、良い面を感じているのであれば、その気持ちを実現するために、字をキレイに書くことを追い続けたら良いと思います。

また、字が汚くても困ったことがなかったり、今後もキレイに書きたいと思わないのであれば、そのままで良いと考えます。

常々言うことですが、「思ったことは現実化する」です。
字を書く本人が、文字に対してどのように思ったり感じたりしているかによって、字のキレイさや汚さは変わってくるものです。

ある日突然に、好きな人から「字がキレイな人が好き。」という言葉を聞いたら、心が動いて「字をキレイに書きたい!」という衝動が起こるかもしれません。

また、「将来は字を書くことなんてきっとなくなるから、もうキレイに書くことはやめよう。」と思ってしまえば、徐々に字が汚くなっていくものです。

あなたは、字が汚くてもいいと思いますか?それとも…。
自分の意見を持つことで、キレイ・汚い字を選べるから面白いですね。