自分の中にある「魔法」を見つけに行こう

〜『オズの魔法使い』が教えてくれること〜
第1章:かけがえのない宝ものを探す旅へ
みなさんは『オズの魔法使い』という物語をご存じでしょうか?
主人公は、アメリカのカンザス州にある広い畑の真ん中で暮らす少女ドロシーです。ある日、家ごと吹き飛ばすほどの巨大な竜巻が襲いかかり、ドロシーと愛犬のトトは、見たこともない不思議な異世界「オズの国」へ飛ばされてしまいます。
見知らぬ土地にたった一人取り残され、不安でいっぱいのドロシー。それでも「大好きなわが家へ帰りたい」という強い思いを胸に、どんな願いも叶えてくれるという「エメラルドの街」に住む「オズの魔法使い」に会いに行くことを決意します。
黄色いレンガの道をたどる冒険の途中で、ドロシーは自分と同じように切実な悩みを抱えた3つの仲間と出会います。
一人目は、畑でカラスにバカにされていた「かかし」。「頭に脳みそがないから、賢くなりたい」と嘆いていました。 二人目は、森の奥で体が錆びついて動けなくなっていた「ブリキのきこり」。「胸に心がないから、温かい愛を感じられる心を持ちたい」と望んでいました。 三人目は、大きな体をしているのに森の動物たちを怖がっていた「弱虫のライオン」。「自分には勇気がないから、百獣の王らしい強い勇気がほしい」と震えていました。
「今の自分には大切なものが足りない」「だから自分はダメなんだ」と思い込んでいる彼らは、魔法使いの力で自分を変えてもらおうと、ドロシーと一緒に旅に出ることにしました。
旅の道中には、底が見えない深い谷、おそろしい猛獣、冷酷な魔女など、想像を超える困難が何度も立ちはだかります。しかし彼らは互いに助け合い、見事に試練を乗り越えてエメラルドの街へ到着します。
ところが、やっと出会えたオズの魔法使いの正体は、魔法など一つも使えない、気球に乗って迷い込んできた「ただの手品師のおじいさん」だったのです。
頼りにしていた魔法が偽物だと分かり、絶望する仲間たち。しかし、おじいさんは彼らに「驚くべき秘密」を告げます。そしてドロシーもまた、旅の中で身につけた本当の強さと、最初から履いていた不思議な靴の力を借りて、無事に愛する家族のもとへ帰還することができたのです。

第2章:扉を開ける鍵は、最初から自分の中にあった
オズのおじいさんが教えた「驚くべき秘密」とは一体何だったのでしょうか?
それは、「君たちが欲しがっていた素晴らしい能力は、最初から自分の中にあった」ということです。
物語をじっくり振り返ってみてください。 かかしは「自分はバカだ」と言いながら、旅の途中で谷を渡るための妙案や魔女から逃げる作戦を一番に思いつきました。彼は最初から、誰よりも頭の回転が速く知的な存在だったのです。
ブリキのきこりは「自分には心がない」と言いながら、足元の小さな虫を踏んでしまっただけで悲しくて涙を流しました。彼は最初から、誰よりも小さな命を思いやれる温かい心の持ち主だったのです。
ライオンは「自分は弱虫だ」と言いながら、仲間が危険にさらされたとき、自分の恐怖を抑え込んで敵に向かって吼えました。彼は最初から、大切な人を守るための本当の勇気を持っていたのです。
彼らは「自分には能力がない」と勝手に思い込んでいただけでした。オズのおじいさんが渡した「おがくずの脳みそ」や「絹のハート」は、単なる気休めのお守りに過ぎません。「自分には力がある」と信じた瞬間に、彼らの中にあった本来の強さが解き放たれたのです。
そして何より、主人公ドロシー自身の成長も見逃せません。 物語の最初、ドロシーは竜巻に巻き込まれて泣くだけの「守られる存在」でした。しかし、かかしやライオンという弱い仲間を守り、旅のリーダーとして励まし合いながら前へ進む中で、彼女はどんな逆境にも負けない芯の強い少女へと成長していきました。
この物語は私たちに教えてくれています。 「君が憧れているステキな自分や可能性は、誰かに与えてもらうものではない。挑戦と行動のなかで、自分自身の手で見つけ出していくものだ」ということを。
ここで少し、胸に手を当てて静かに考えてみてください。 かかし、きこり、ライオンの中で、いまのあなたに一番似ているなと思うのは誰でしょうか?
「テストの点数が悪くて頭が良くない」と落ち込むかかしでしょうか。「人に優しくできなくて友達とうまくいかない」と悩むきこりでしょうか。それとも「SNSや周りの人と比べて、失敗するのが怖くて逃げてしまう」と震えるライオンでしょうか。
もし思い当たるキャラクターがいたら、思い出してください。彼らはみんな、最初から素晴らしい力を持っていたのです。「自分にはない」と思い込んでいたのは、自分自身だけでした。 あなたの中にも、まだ自分で気づいていない『隠れた魔法』が、必ず眠っています。
第3章:今日からできる!「黄色いレンガの道」の歩き方
学校生活や部活動、進路や人間関係で自信を失いそうになったとき、オズの物語から学んだ教訓を今日からの生活に生かすための3つのステップを紹介します。
1. 「〜がない」という自分へのレッテルを貼り直す
周りの人と比べて「自分には才能がない」と自分を責める代わりに、「やり方をまだ知らないだけ」「練習の工夫を変えてみよう」と考え方をシフトさせてみましょう。「今の未完成な自分」を認めてあげることから、すべての成長が始まります。
2. 未完成のまま「黄色いレンガの道」へ一歩を踏み出す
「もっと完璧にできるようになってから」と言って挑戦を先延ばしにするのはやめましょう。ドロシーもライオンも、未完成で不安なまま挑戦に出たからこそ、その過程で強くなれたのです。
授業で手を挙げてみる、難しそうな検定に挑戦してみる、少し苦手なクラスメイトに自分から挨拶してみる。 「失敗したらどうしよう」と怖がる必要はありません。ライオンだって最初はブルブル震えていました。怖さを抱えたままでも前へ進むこと、それ自体がもう立派な「勇気」なのです。
3. 一人で抱え込まず、チームで補い合う
ドロシーのチームに完璧な人間は一人もいませんでした。知恵のかかし、情のきこり、力のライオン、そして目標を示すドロシー。お互いの欠点を責めるのではなく、自分の得意なことで仲間を助け、苦手なことは素直に「助けて」と言える関係性を作っていきましょう。
第4章:目標を達成したあなたへ〜次の冒険の始まり〜
一生懸命に努力を重ね、目標とするテストの点を取れたとき、部活動の大会で成果が出たとき、あるいは悩みを乗り越えて進路が決まったとき。そんな「最高の結果」が得られたときこそ、大切にしてほしい姿勢があります。
1. 「運」や「誰かの魔法」ではなく「自分の選択の成果」だと誇る
結果が出たとき、謙遜しすぎて「たまたま運が良かっただけです」と自分を低く見積もる必要はありません。 「諦めずに考え抜いたこと」「怖くても逃げずに一歩を踏み出したこと」を選んだのは、他のだれでもないあなた自身です。 「自分は自分の力でやり遂げたんだ」と胸を張り、自分の成長を正当にほめてあげてください。その経験が「自分なら次も乗り越えられる」という揺るぎない自信になります。
2. 手に入れた「強さ」を、次の誰かのために使う
物語の結末で、かかし・きこり・ライオンは、旅を通じて手に入れた知恵・優しさ・勇気を使って、オズの国の素晴らしい指導者となり、困っている人々を助ける存在になりました。
あなたも目標を達成し、一つ大人になれたなら、その得た知識や強さを「過去の自分と同じように悩んでいる友達や後輩」のために使ってみてください。
勉強でつまずいている友達に優しく解き方を教えてあげる。 失敗して落ち込んでいる後輩の隣に寄り添って話を聞いてあげる。
自分の成長を誰かの笑顔のために還元できたとき、あなたの中にある「本当の魔法」は最高に美しく輝きます。さあ、自分を信じて、あなただけの新しい冒険へと進んでいきましょう!

